何も戦争の話をする訳ではない、いやこれは一種の戦争かも・・・
まだくろじいが入院中だった、昨シーズンのF1グランプリ第5戦スペイングランプリ。
舞台となるバルセロナのカタロニアサーキットでは王者M(ミヒャエル)・シューマッハは、
弟でありライバルでもあるR(ラルフ)・シューマッハと共に現れないのではないのかと囁かれていた。
前日に最愛なる母を失ったからである。
しかし予選当日、右腕に黒い紋章を付け王者はサーキットに現れた。
フェラーリは新型F1マシン・F2003−GAをこのバルセロナでデビューさせた。
ヘルメットの中では瞳を涙で曇らせていたであろうM・シューマッハは、まるで母親の魂が乗り移ったのかの様な驚異的な走りで新型マシンを優勝させた、勿論その顔に笑みはない。プロフェッショナルとはこういうものである・・・・・昨年観たモータースポーツシーンで一番感動した瞬間だった。
今年もいよいよF1が開幕する。昨年の覇者フェラーリは更なる進化を遂げたF2004−GAを生粋のドイツ人であるM・シューマッハに託す。今年35歳を迎えそろそろ引退がささやかれるM・シューマッハ。世界のスポーツ選手(モータースポーツをスポーツと認めない日本では違和感があるか?)の中で年俸60億円と言われる一番の高給取りは、あのアイルトンセナも成し遂げなかった前人未踏の5連覇(7度目のタイトル)をかけて勝負にでる。
では何が三国同盟?
タイヤである、レーシングマシンの善し悪しはタイヤに依存する。
あの地味でどれも同じように見える黒い固まりが勝負の全てを左右すると言っても過言では無い。ブリヂストンはこのオフシーズンの間に17000本のタイヤをフェラーリとのテストに投入した。最新のブリヂストンのCMを観ただろうか?真っ赤なエンツォフェラーリのタイヤとして唯一指定されている事を謳っている。10年前であればフェラーリやポルシェに純正指定されるなど考えられなかった事だ。
ライバルは世界最大のタイヤメーカーであるフランスのミュシュラン。よく「レストランの等級みたいだね?」と言う人が居るが逆である。ミュシュランがタイヤを作った時に自社のタイヤで長距離ドライブをしてもらう目的で、宣伝の一環として「ミシュランガイドブック」が作られたのである。だからレストランがタイヤみたいなのだ。
モータースポーツをくだらないと思う人も居るだろう、でもそれを言い出したら世の中みんなくだらないのである。
くだらないから楽しいのだ。
日本・ドイツ・イタリア・・・・この第二次世界大戦の敗戦国が工業製品、特に自動車という分野で世界をリードしてるのは本当におもしろい。
2004年シーズンは全18戦。16戦目にはF1史上初めて中国上海でのグランプリが開催される、第17戦の鈴鹿、そして最終戦のブラジル。今年はタイヤ戦争も見逃せない。
第1戦オーストリアグランプリはいよいよ今日開幕だ。
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